農ある暮らし実践者 靴職人×農生活
誠和会とは、埼玉圏内で家づくりに関わる匠の心をもつ者たちの集団です。職人として、サポーターとして、夢のある家・住空間づくりを提案し続けるために会員同士が力を合わせ、より良い生活環境に必要なモノやコトづくりまでも研究しています。
誠和会がサポートする農業イベント主催の誠農社内の敷地に、農ある暮らしを実践している靴職人の湯本さんのおうちがあります。
農ある暮らし実践者の生活ぶりを伺う機会をいただきました。
誠農社の由緒ある門の横に、農ある暮らし実践者の湯本邸があります。
低温乾燥杉を使った木材の住宅が、農業地帯のこの地域の中でも、ひときわ目立ちます。
おうちを建てるきっかけは、湯本家の奥様が、誠農社が開催している自然栽培の会に参加したことだったそうです。
子ども時代に、おばあちゃんが朝ご飯を作る時に、
「裏の庭からネギを取ってきて」
と。
そんな懐かしい思い出の生活ができたらいいなあと思い、自然栽培方法を教えてくれるところを探していたところ、
住んでいた近くの加須市にある誠農社で自然栽培の会がスタートすることを知って第一期生として申し込んだのだそうです。
ちょうど、ご主人との結婚・出産の時期でもあり、子どもが生まれたら、伸び伸びと自然の中で育てたい。
我が子に、自分の作った野菜を食べさせてやりたい。
そんな夢を自然栽培の会の皆に話していたところ、畑や田んぼに歩いていけるこの土地で農ある暮らしができると知って、農ある暮らしを実践することになったそうです。
おうちに入ると、広い土間があり、その隣の部屋には、緑の見える窓と重厚なミシンが!
このミシンから靴が作られるそうです。
子ども靴・・・かわいい♡
大人靴・・・質の高いおしゃれなセンス!
豚の革は柔らかく厚手で内側素材に、牛革は靴の表に使用したり、また、ヤギや馬など様々な革を用途に合わせて組み合わせます。
こうしたパーツを縫い合わせるのですが、手縫いで作られるもの、ミシンで作られるものなど、靴の用途に合わせて、ひとつひとつ作り方も素材も組み合わせ方を変えて、その人の足に合ったものを創り出します。
靴を作る時の型も、いろいろな方法があるそうです。
既成の型を元に、微調整をしていく方法。
足型を作ったり、石膏で足の形を作って合わせたり。
住宅も、住まう人一人一人、また、家族が増えた時の人生設計をも考えて家づくりをいたしますが、靴職人も、足に合わせればいいというだけでなく、どんな場所で、その人にとって、どれだけの頻度で、どんなシチュエーションで靴を履くのかということを考えて、丁寧に作るという点では、匠の職人魂を感じました。
農ある暮らしにピッタリの靴を生み出してもらえたら、楽しいだろうなあという感想ももちました。
靴だけでなく、ソファの張替えや、革のカバン造りなどもされています。
湯本さんに、農ある暮らしのメリット・デメリットをお聞きしました。
靴職人というお仕事をもちながら、家事・育児をこなす生活ができることが、女性として、ストレスフリーで幸せをたくさん感じられるということでした。
現在、離乳食時期の樹(たつき)くんに、自分が育てた野菜を食べさせてあげられる喜びや、野菜作りを通じて、自分が旬の食材に繊細になったように、子どもたちにも、その感性を伝えることができることが、母親として、とても嬉しいことであるというお話もいただきました。
※ ちなみに樹くんの命名には、樹木は人間の寿命よりも非常に長くこの世界に生命を過ごし、多くの歴史を黙って見てきたという大地からの栄養と知恵をもつことから、自然の恵みを感じられるような人間になってもらいたいという願いが込められてのことだそうです。
とても素敵なご両親だなあと、感激いたしました。
周りが農地で、寂しくはないですか?
とお聞きすると、
子どもが小さいので洗濯物も多く、夜でも、気兼ねなく洗濯機を回すこともできるし、
太陽の高さを見て、今、何時くらいだなあと、身体や感覚で時間が理解できたり、
鶏は朝に鳴くものとものと思っていたら、真っ暗なうちから鳴きだすことを知ったり、
それもまた、新しい発見ばかりです!と。
お気に入りの場所は、木材に囲まれたおうちそのもの。
夏は涼しく、冬は暖かいという低温乾燥杉材の杉の特性により、この夏はエアコン購入も先送りで夏を過ごせたそうです。
土間のある家では、栗拾いをしてきた栗の渋皮を剥いたり、野菜たちの洗い場になったり、と、大活躍!
ご主人は、走ることや自転車が趣味なので、自転車のメンテナンスをしたり、DIYを行うにも最適なのだそうです。
農作業を通じ、自然の時間の中で過ごすストレスフリーな心身を保ち、子育てにも、人工的な教育では学ぶことのできない人間と自然の共有体験からの学びを得られるライフスタイルは、我が子や自分の働き方を、他者に支配されないこれからの生き方のモデルであるのではないかと感じました。
こうしたライフスタイルを、より楽しめるように、農ある暮らし住宅を創りあげていく使命をもった誠和会一同、技術も職人魂も、さらに磨き続けていかねば!と、取材を通じて思いました。
湯本さんは、子育て中のため、現在は積極的に靴のオーダーをお引き受けしておりません。
ご注文・お問合せに関しましては、健康・自然素材にこだわる繭久里カフェにお問合せください。
お問合せ先:エシカル油井ケ島事務局 繭久里カフェ
〒347-0026 埼玉県加須市油井ヶ島1393番地1
*誠農社農場エシカル油井ケ島の繭小屋1F
電話:080-6785-2255(ショートメール可)